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「BORO襤褸の美学」神戸ファッション美術館


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前回の記事の最後に載せたこのポスターは、
10日まで、神戸ファッション美術館で開催されてた「BOROの美学」という展覧会のもの。
子供たちががぶって?いるのは・・・

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コレです!
ドンジャと呼ばれる津軽地方の掻巻(かいまき)布団です。重さ15キロもあるそうです!!!
木綿栽培が出来なかった津軽地方(に、限りませんが)では、中に麻(大麻くず)をつめて
布団綿とし、破れては継ぎをあて何代にもわたって繕って繕って大切にしたそうです。

世界中の物資が集まる超豊かな国となった現在の日本からは想像もできないですが、
ほんの70年ほど前までは、命を守るための大切な家財であったのですね!

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特に、北国では寒さから身を守るための工夫が、
このこぎんや刺し子というものに発展していきます。
染織史では木綿が日本中に広がったのは江戸中期とされていますが、寒冷地は別。
長くその恩恵にはあずかれず、農民・庶民の衣類は麻(大麻)でした。

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私たちの衣生活では、麻は夏の繊維!
北国でなんで?!というわけですが、寒冷地では木綿栽培が出来なかったからです。
やっと江戸末期になって手に入るようになった木綿糸で大麻の織りの目を埋めるように
刺し子し、寒さをふせぐ工夫(そして丈夫に補強!)としたのです。
それが、青森では津軽こぎん刺しという名で知られるものとして発展していきます。
(非常にざっくりな説明ですが・・

この写真の方が、田中忠三郎さんという民族学者で青森・津軽地方の民具・染織品の
収集家です。2013年にお亡くなりになったそうですが、今回の展覧会では半世紀をかけて
収集された津軽こぎんや南部菱刺しなどの農民の衣装が数多く展示されています。

上の写真の「津軽こぎんと刺し子 はたらき着は美しい」LIXIL出版には、津軽こぎんばかりでなく
庄内・佐渡・会津・東京・志摩・阿波・瀬戸内・博多などに伝わる刺し子も紹介されています。
もちろん、刺し子や縫いを施す衣服というのは、世界各地に見られそれらの紹介もあって
とても楽しくそれらの違いもよくわかる面白い本です♪
もちろん、田中さんも寄稿されています。

***

そしてこの「BORO」とローマ字表記された「ぼろ」とは文字通り「ぼろ裂=襤褸」のこと。
近年、最初に紹介したドンジャのように次々と継ぎをあてられ、洗い晒され、穴が開き、
またその上から別布があてられ縫いとめられ、洗われ・・・・を繰り返すうちに期せずして
まるで現代アートのような面白い造形美を生み出した布
(ドンジャのような寝具や布団皮や敷布)や衣類を総称して「BORO]と呼び
「アート」として愛好?!するコレクターが世界中に居るらしいのです!
とくに欧米で人気が高いようです。

上、二枚の写真に写っているのは、数年前に京都の骨董屋さんで見つけた木綿の
「BORO]です。部分だけ写すと、継ぎのあたったタダの藍染め布ですけど

広げると、その継ぎやあて布やその縫い目が洗いさらされた藍木綿の質感とあいまって
面白い絵のように感じられます~~
そしてなんといっても、絵と違って触れたり纏ったり出来る造形として、
布好きとしてはそそられる世界です~~~

この展覧会はかつての貧しさの中から生まれた力強く美しい
津軽こぎんの世界と、それらに即発された現代のファッションデザイナーの作品が
並列する、ファッション美術館ならではの構成になっておりました。

まぁ、圧倒的に昔の野良着が素晴らしいのですが・・・
「たっつけ」というもんぺは複雑な剝ぎが入って身体にフィットしそうな立体的な形で、
思わず履いてみたくなりました!
同じデザインで、現代の生地で作ったならきちんと現代ファッションとして成立しそうな
機能性とファッション性を備えて美しいものでした。

それらが、過酷な自然や農作業をこなしながら家族を思い、
麻を育て、繊維をとり糸に績み、布に織り・刺し子を施し仕立てた
無名の女性たちの手によりつくられたのですね。
昔の女性はほんとに偉かったですよね~~(((o(*゚▽゚*)o)))
会場に展示されたたくさんの野良着(BORO)の美しさに、じわじわと感動しました~

この田中さんのコレクションは、東京浅草にあるアミューズ・ミュージアムに
常設展示されているそうです。ご興味のある方はそちらへもぜひお出かけください。


***

長々、「BORO」のこと書いた後だと紹介しにくいんですけど・・・

この日の私のコーデは。すべて絹~~でございますしかも・・もちろん自分で縫うことすらしておりません~~お恥ずかしい限り!!!


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なんか、モヤってますね~ガラスが汚れてたのかな・・・

亀甲を織りだした男物の白大島に紅会本部工房制作の「桜」の日本刺繍帯。
羽織りの色に合わせた青磁色の縮緬無地の帯あげと白と黒のリバーシブルの3分紐(白を使ってます)
にkosodeさんの一粒ダイヤの帯留めで。

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陰表現で紅葉も刺されているので、海外とかで秋にも締めても良いかも?とも思いますが・・・
やっぱり春にこそ締めたい帯ですね♪

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青磁色の地に紺や緑で大きなチェック柄を染めた着尺地で仕立てた単衣羽織りで。
細い組紐の羽織り紐は先日、うめだ阪急に出店されて大阪粉浜の呉服屋さんこころやさんで頂いたもの。
最近はやりの薄羽織用に仕入れはったそうですが、使いやすい!色違いが欲しい~~


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そうそう!
この日、帰りに寄った本やさんで見つけた「考える人」
に、紬織りの人間国宝志村ふくみさんのインタビュー記事が掲載されておりました。

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先日、京都国立近代美術館で開かれていた文化勲章授章記念展「母衣(ぼろ)への回帰」の
その題名に選んだ「母衣」が「ぼろ」であり「襤褸=BORO」であること。
志村先生の織物の原点が、「ぼろ織り」であること、その原点に帰りたい由からの命名だそうで!
90歳を超えられてなお、つぎなる織物の表現を求めておられるようですが、その元は「BORO」!
そうですよね~
紬はかつては、自家用で家族のために屑繭からとった真綿から紡いだ糸で織ったものなのですから!

津軽の女性たちが、労働着を夫に着せるため、子供に着せるためと過酷な作業を経て
自ら糸を績み織った大麻布に精緻なこぎん刺しを施した布。
単なる寒さよけのためならばあれほど精緻な刺し文様をつくる必要はありません。
飾ることが祈りに通じ、より良い文様を着せることで魔から守りたいという思いがあったればこそ。
古くなったからといって簡単に捨てられるモノではありませんよね。
それはかつての紬織りも同じこと。
キモノが、端切れになっても捨てられないのはそのような作られかたのDNAが
今のキモノにも伝わっているからではないのかなあ~と思います。
私の着ている着物や帯は、おしゃれで着ているものなんですが、
大島紬の歴史があり、日本刺繍の技があり、
文様の由来(この柄は江戸時代の能装束からデザインを起こしたもの)があり、
四季の取り合わせが小物にいたるまであって、そこにキモノの美学があると思います。
そこに単に「着ている」以上の表現があって、
今、わざわざキモノを着る喜びにつなっがっていると感じます

志村先生のインタビューを読んで、
展覧会の「BOROの美学」の意味がつながったようで、嬉しくなりました。

キモノの美って、こんなふうにつながっているのですね。面白いです!!!
今も日本各地の産地でその土地土地の風土や文化から生まれた染めモノや織物が
豊かに作られ続けていることをほんとに誇りに思います。

素晴らしいです☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆


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コメント

[C1379]

同時期に、同じ読みの言葉をKEYWORDとして開催された二つの展示。

開催を知ったとき、大変興味を持ちました。

やはり、こういった点でつながりがあったのですね。
  • 2016-04-13 06:46
  • hiro
  • URL
  • 編集

[C1380]

そうですねえ~♪
野良着と志村先生の華やかな紬織り着物とは
対極にあるような気がしていました。
くず糸を繋いで織ったぼろ織りが原点と明確におっしゃってますものね。
そのくず糸を芸術にまで高めたのが志村先生。
無名の女性たちが作った野良着や寝具もいまや世界に誇る「BORO」として
高く評価されていて、どちらも日本人として誇らしいですよね~~
そこに宿る美学を持ち続けられるか?!は、これからの問題なんですが・・・

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